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孫引きの戒め [雑記]

(前回Wikipediaにふれましたので、今回もWikipediaの話をしましょう)

 しばらく前に、日本の雑誌Newton 2009年12月号(ニュートン・プレス刊)を読んでいました。
「ワクチンの正しい知識」のところで、麻疹・風疹があったので、風疹をググったところ、Wikipediaがヒットしたので、そこをみたところ、「風疹」のページには「正十二面体のカプシド構造」とあるのですが、そこからリンクされている「風疹ウイルス」のページには「正20面体のカプシド構造」とあります。はて?

いったい、風疹ウイルスは12面体?20面体?どっちなのでしょう?

で、「風疹ウイルス カプシド」でググったところ、表示された結果(1ページ目と2ページ目; 執筆当時)で、そこに表示されている短い文中にある記述のみでみると(XX面体の記述のないページもあります)、次のようになりました。なお、ttpはhttpのことです。

  • 12面体と記述
      ttp://h(略)
      ttp://w(略)
      ttp://b(略)
  • 20面体と記述
      ttp://j(略)
      ttp://m(略)
      ttp://h(略)
      ttp://w(略)
      ttp://w(略)

なぜこんなことになっているのでしょうか? おそらく「十二」と「二十」を間違えたことが発端かと思います。

20面体が正しいのですが、12面体という情報が少なからぬページにあります。彼ら全員が20を12に見間違えたということは、あまり考えにくく、むしろ、どこかから広まったという可能性のほうが高そうに思えます。これは興味深い事例でもあり、「過った情報の広がり方の調査」という研究もできそうです。「孫引きの戒め」は、インターネットの時代でも、いや、情報伝達速度が速いインターネットの時代だからこそ、一層重要になっているのかもしれません。

12面体はdodecahedron、20面体はicosahedronですので、「Rubella virus dodecahedron」「Rubella virus icosahedron」でもググってみましょう。
ヒットしたページのひとつ

http://pathmicro.med.sc.edu/mhunt/intro-vir.htm

のページの図6によると、ウイルスの典型的な5つの形があります。実質的には、20面体と螺旋とcomplex(複雑?)です。そこに12面体はありませんね。なるほど、「風疹ウイルス カプシド」でググったとき、XX面体の記述がないページが少なくない理由もわかりますね。この3つのいずれかしかないわけですから、単純で明確な形状としては、螺旋でなければ20面体しかないので、XX面体と書く必要がないのです。

Wikipediaは一次情報としてはそれなりにコストパフォーマンスの良い情報です。しかし、最終情報として考えるなら、必ず「裏」をとるようにしたほうがよいでしょう。ただし、ググって、そう書いてあるページが多いから正しい、とは思わないようにしましょう。上記の例がそれを物語っています。少なくとも「英語のWikipedia」(世界で英語を読み書きできる人間は日本語を読み書きできる人間よりも多いから)、本格的には「著名な欧米の大学内のページ」など身元のしっかりとしたページを読んで、同じことが書いてあるかを確認したほうがよいでしょう。(私自身も孫引きをすることが多いので、自戒の意味を込めて)


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